
2月13日(土)、東京都・麹町の弘済会館で「
動く→動かす」と
MAKE the RULEキャンペーンの共催セミナー「貧困と気候変動の同時解決の道は? ~クミ・ナイドゥ氏を迎えて~」を開催しました。
南アフリカ共和国に生まれ、アパルトヘイト(人種隔離政策)と闘いから市民社会での長いキャリアを開始したクミ・ナイドゥ氏。現在は、貧困問題や気候変動のような地球規模の課題を解決するために、世界100ヵ国以上で活動する貧困問題解決のための世界的ネットワーク
Global Call to Action Against Poverty(GCAP)や、気候変動に関する国際キャンペーン
Global Campaign for Climate Action(GCCA)などの市民による行動を先頭に立って引っ張っています。草の根の活動から社会を動かしてきたナイドゥ氏の話を聞こうと、定員を上回る60人が詰め掛けました。
ナイドゥ氏は、気候変動による砂漠化や海面上昇による塩害によって途上国で貧困が悪化していることや、民族紛争に見えるスーダンのダルフール問題の背景には原水や土地の不足が深く関係していることなどを挙げて、貧困と気候変動が深くつながっていることを説明。「問題解決のためには、別々に行動を起こすのではなく一つにまとまる必要があります。また、活動に興味がある人だけに呼びかけるのではなく、労働組合やビジネス関係者などにも積極的に働きかけるべきです」と、多くの市民を巻き込んで声を大きくすることの重要性を語りました。
続けて、「私たちは、奴隷制度やアパルトヘイトなどの不公正なしくみを変えてきた歴史を持ちます。一方で、なぜ、これらのしくみを変えることができたのか、貧困や気候変動の解決を求める行動に足りないものは何なのかを考えるべきです」と社会を変えてきた歴史に耳を傾けることの大切さを強調します。「変化を生み出した過去の闘いに共通しているのは、市民がもう黙っていられない、命をかけてでも状況を変えたいという人々の熱い想いがあったことと、リーダーが自分を信じていたことです。ガンジーやネルソン・マンデラ、キング牧師などはどんな状況でも考えを曲げずに貫き通しました」。
「2009年10月に『動く→動かす』が主催した
スタンド・アップでは、日本国内だけで3万5000人が貧困問題解決を求めて立ち上がったと聞いています。これだけ多くの人が行動したことはすごいことです」と、日本のスタンド・アップの成果に言及。その一方で、「署名を集めたり、手紙を書いたり、政府関係者と面会するだけでは変化を生み出すことはできません。意志決定者と接触することと、影響力を与えることは区別しなくてはなりません」と、問題解決のためには行動していることに満足するのではなく、変化を生み出すことにこだわる必要があるとのメッセージもありました。
ナイドゥ氏に続いて、
MAKE the RULEキャンペーンの平田仁子氏と「
動く→動かす」事務局長の稲場雅紀が、気候変動と貧困、それぞれにとっての2010年の重要性について発言しました。稲場は「貧困をなくすことは、生まれた場所によって運命が決まる格差社会を変えることです。全ての人が自らの国や地域、社会、自分の人生に希望を持てる社会をつくることが私たちの目標です」と「動く→動かす」の活動趣旨を説明。世界では「2015年までに貧困人口を半減させること」などを約束するミレニアム開発目標(MDGs)が定められているにもかかわらず、多くの国が援助を減らしているため達成が危機的な状況にあることや、達成まであと5年の節目となる2010年にどのような行動を取るかが、貧困のない世界の実現を大きく左右すると訴えました。
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