2011年11月24日
東京都千代田区霞が関3-1-1
外務省 外務大臣
玄葉 光一郎 様
第4回援助効果ハイレベルフォーラムに関するお願い
国際協力NGO 一同
拝啓 時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。
私どもは、途上国の持続的な発展と貧困削減に向けた、我が国をはじめとする世界の開発協力の貢献・効果のさらなる向上に市民社会の立場から取り組む複数のNGO です。来る11月29日より韓国・釜山にて開催されます『第4回援助効果ハイレベルフォーラム(HLF4)』に向けて、成果文書の作成に携わる特別委員会の参加国として、我が国としても積極的な姿勢を打ち出し、各国へも同調を呼びかけて下さいますよう、以下の通りお願いいたします。
ご案内の通り、HLF4の成果文書となる『釜山成果文書(BOD)』では、経済開発協力機構開発援助委員会(OECD DAC)に加盟するドナー国と被援助国の間で結ばれた伝統的な合意枠組みとは異なり、DAC未加盟の中国などを始めとする新興開発協力供与国や民間セクターなどをも包含した『効果的な開発協力のためのグローバル・パートナーシップ』を形成し、その共有原則に合意する方向で交渉が進められております。しかしこの中で、2005年のHLF2で採択された『パリ宣言』及び2008年のHLF3で採択された『アクラ行動計画』で合意された、開発援助に関する既存の原則や誓約内容、そして今回のHLF4での合意事項の進捗状況に関して、今後もグローバル・レベルでのモニタリングを継続して行うかどうかについて、現在、BOD 草案作成特別委員会の中で大きく意見が分かれており、最新の第5草案(BOD5)では、各途上国におけるモニタリングを重視する一方、ドナー間、及びドナーの被援助国に対するアカウンタビリティを実現するためにグローバル・レベルでのモニタリングを継続するかどうかについては、曖昧な表現となっています。
私どもは、各途上国特有の文脈において着実に合意内容の進捗を測る作業が重要であるという認識は共有いたしますが、その国際的な後ろ盾として、グローバル・レベルでのモニタリング枠組みは引き続き不可欠であると考えております。パリ宣言評価報告書も、①グローバル・モニタリングが先進国ドナーの援助効果向上に貢献している、②パリおよびアクラの合意事項の妥当性は新興ドナーを含むすべての開発協力主体にも該当する、そして③グローバル・モニタリング枠組みの存在が、各途上国における援助効果向上の重要なインセンティブとして機能してきたと結論付けています。
私どもは、近年我が国が援助効果向上のために行ってきた外務省の『ODAのあり方検討』や、2010年国連総会で発表した保健・教育分野に関する新協力政策などの方向性が、パリ以降の援助効果向上アジェンダとも整合するものとして支持し、その実施に対しても協力を惜しまないものです。現状のBODの文言は、以上のような我が国の国内改革の国際的後ろ盾を損ないかねません。また、グローバル・モニタリング枠組みを失うことによって、各途上国におけるドナーと被援助国の間の交渉関係にも著しいドナー偏重が起きることが懸念され、このことは、我が国がHLFプロセスで一貫して「ドナー主導」のあり方に反対してきた経緯に照らしても、憂慮すべき傾向と思われます。
つきましては、BOD交渉において、以下の2点を本文内に盛り込むよう、特別委員会議長にご提案いただきますよう、強くお願い申し上げます。
末筆ながら、会議のご成功を祈念しております。
敬具
署名団体・代表者名一覧(団体・ネットワーク名50音順)