2.ポスト2015に関する「五か条の提言」

2015年8月26日


「動く→動かす」では、2012年にBeyond2015などと連携して日本で行った市民社会コンサルテーションの内容を踏まえ、2013年5月、日本の市民社会としての「ポスト2015」に関するポジションをまとめた「ポスト2015開発枠組みに関する五か条の提言」を発表しました。

市民社会コンサルテーションでは、日本の市民団体、労働組合、宗教系団体等へのヒアリングを行ったほか、
2013年2月に国際協力・国際交流などに取り組む日本各地のNGOなどに呼びかけて大阪にてワークショップを行いました。これらを踏まえ、また国際的な市民社会の動向なども勘案してまとめたのが、この「五か条の提言」です。

ポスト2015年開発枠組みに向けた

5か条の提言



「ミレニアム開発目標(MDGs)」の期限である2015年が近づいています。私たち市民社会は、各国政府及び国際社会に対し、2015年までに同目標を必ず達成するよう呼び掛けるとともに、2016年以降に向けても、現代の諸問題に適切に対応した、質の高い野心的な目標を設定することを通じて、必要な政治的意思、政策、資金の動員を実現することが必要であると考えています。



2016年以降の開発枠組み(ポストMDGs)では、普遍的な人権と「人間の安全保障」を実現し、すべての人間が尊厳とともに生きることのできる、貧困のない公正な世界を実現することを目指す必要があります。人々に希望を与え、共通課題の解決に向けた団結を促せるような、先見性のある指導力が求められます。「ポストMDGs」プロセスは、その指導力を発揮する絶好の機会です。



上記より、私たち市民社会は、日本政府が、以下の5か条に基づいた「ポストMDGs」提案を世界に発信し、「ポストMDGs」策定について国際的な指導力を発揮することを求めます。



第1条 「絶対的貧困・飢餓ゼロ」を実現しよう!

=人権と「人間の安全保障」を基盤にした普遍的な目標の設定を=
第2条 世界全体で「格差と不平等のない社会」を実現しよう!

=誰もが排除されずに活躍できる包摂的な社会・経済を目標に=
第3条 将来世代に「より良い地球」を残そう!

=早急に持続可能な開発・経済モデルへ転換する目標の設定を=
第4条 目標の達成に向け、すべての政府・企業・市民社会が責任と役割を果たそう!

=透明で民主的なプロセスを重視した目標の設定を=
第5条 目標の達成のための資金を「世界全体で分かち合う」しくみを作ろう!

=ODA 0.7%目標の達成と、国際連帯税・租税協力・軍事費削減で開発資金を=
 


「ポスト2015年開発枠組みに向けた5か条の提言」詳細


(日本語版の文言を修正しました。詳しくはこちら



5 Key Recommendations for the Post‐2015 Development Agenda




この「五か条の提言」を、国連で合意されたポスト2015の合意文書「我々の世界の変革:持続可能な開発のための2030アジェンダ」と比較すると、以下のことがわかります。

■「極度の貧困」を含めたあらゆる形態・あらゆる程度の貧困をなくす、という、極めて積極的な表現がなされています。  (同アジェンダ「宣言」第2段落等)
■格差と不平等についても、これに「取り組む」と宣言しています。  (「宣言」第3段落等)
■ 「持続可能な消費と生産パターンの確立」を軸に、持続可能な社会への「根本的な変革」が必要だと説いています。  (「宣言」第28段落等)
■平和と透明性、民主主義の確保、法の支配といったガバナンスに関わる目標を含んでいます。  (SDGsゴール16、「宣言」第35段落等)

これらは、「五か条の提言」の第1条から第4条の内容を大きく含みこむものです。日本政府も合意する形でこの合意文書ができたことに鑑みれば、「動く→動かす」の政策提言は、少なくとも、合意文書の「宣言」などのレトリックの面では成功したといえるでしょう。

問題は、実際にこの合意文書に盛り込まれた「目標」をどう達成し、実際に貧困をなくし、「持続可能な世界」へと自らを変革できるかにあります。この点に関していえば、「合意文書」の「実施手段」のパート、および「フォローアップとレビュー」の内容には、若干心もとないところがあります。

2015年7月にエチオピアの首都アディスアベバで開催された「第3回開発資金国際会議」では、SDGsを実現するために、どのように資金を集めるか、ということが焦点でした。
しかし、残念ながら、同国際会議の成果文書である「アディスアベバ行動アジェンダ」には、「国際連帯税」などは盛り込まれなかったほか、多国籍企業などが行っている「税逃れ」などによる途上国からの不正な資金の流出を止めるための手段や、途上国が十分な開発資金を確保するための税制の改善や徴税能力強化などにかかわる政府間組織の設立は見送られました。
開発資金の多くは民間資金から調達すべき、というのが大方の結論でしたが、実際に民間資金をどのように、最貧国の最も貧しい層や周縁化された人々に届けるのか、ということについては、十分議論されませんでした。

ポスト2015の「合意文書」の「実施手段」の部分は、先進国から途上国への技術移転に関わる部分も含め、この「アディスアベバ行動アジェンダ」に依拠しており、実際に「宣言」で描かれた、あらゆる形態・程度の貧困をなくすといったことをどのように具体的に実現するかは不透明です。また、「フォローアップとレビュー」についても、まだ指標が定まっていないなど、不透明な部分が多いのが現実です。この点にかんがみれば、これからの市民社会の課題は、「五か条の提言」のうち、実際に目標を実現できるような仕組みを国内外でどう作るのか、というところになってくると思われます。
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