
9月8日、「動く→動かす」では、東京・渋谷で緊急合同セミナーを開催しました。議題は新政権における世界の貧困・気候変動課題への取組への要望と期待です。選挙が明けてわずか1週間で開催されたこのセミナー。当日は60名以上の方が来場し、関心の高さが伺われました。
9月には国連総会やピッツバーグでのG20金融サミットが、そして12月にはデンマーク・コペンハーゲンにて気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)が開催されます。これらの重要な機会に、世界の貧困問題の解決やミレニアム開発目標(MDGs)の実現、気候変動などの重要な課題に対して、新政権はどのようなメッセージを発信していくべきなのか。また、日本はこれらの問題にどのような責任を果たしていくべきなのか。
国連ミレニアム・キャンペーン(UNMC) のミナール・ピンプル氏をゲストに迎えて、貧困・気候変動課題に取り組むNGOの期待と提言をアピールしました。
冒頭発言
政権交代:国連総会・G20・COP15へ
=2009年後半の見取り図=稲場雅紀 (「動く→動かす」)冒頭発言は、「動く→動かす」(GCAP Japan)の事務局長である稲場雅紀が行いました。稲場は、政権交代は新しい時代に対応するために私たちが選んだ必然的な結果であり、その新政権が今までの政権とは違うことをアピールするためには国連総会やG20に向けてメッセージを発信せねばならないと述べました。
また、今日のこのイベントを、新政権に対して市民社会が声を上げる最初の機会にしたいとも述べました。
⇒発表資料は
こちら 基調講演
日本の新政権に期待する
=MDGs達成にリーダーシップを=ミナール・ピンプル(UNMC・アジア担当事務次長)ミナール・ピンプル氏からは、国連また日本の新政権が発表した排出削減目標などについて、勇気づけられるものが多いと述べました。
ピンプル氏は日本の新政権に対して、ODAの増額、途上国への債務免除、そして公平な貿易の実現におけるリーダーシップの発揮を要請しました。そして、政府が着実に国際公約を実行するよう、一人ひとりの市民がきちんと働きかけていくことが必要だと強調しました。
最後に、ピンプル氏は「動く→動かす」(GCAP Japan)とMAKE the RULEキャンペーンの連携の重要性に言及し、切り離すことのできない貧困と気候変動問題に共に取り組んでいってほしいとの期待を述べました。
>/a>提言1
■新政権への提言1:COP15に向けた新政権のリーダーシップは?
=小西雅子氏( WWF 気候変動プロジェクトリーダー)
小西さんは、新政権に対しCOP15に向けて望むことについて、単に目標を設定するだけではなく、それを達成するための効果ある政策の実施が必要であると述べました。
また、25%削減という新政権の目標値には期待が持てるが、いまだに産業界の反対も大きく、放っておいたら抜け穴だらけの目標になる懸念があること、そうならないためにも私たち市民社会が見守る必要があることを強調しました。
(⇒発表資料は後日掲載予定です)
提言2
新政権への提言2:国連総会・G20への新政権のリーダーシップは?
=山田太雲氏(「動く→動かす」)山田さんは、新政権が世界に対して政策をアピールしようとしているのは歓迎すべきとした上で、はたして新政権は現在の貧困問題をきちんと理解できているのだろうかとの懸念を表明しました。
例えば、先進国でGDPが上向いたからといって金融危機対策をやめていいわけではなく、また金融危機の影響はこれから途上国に出てくるので、今後さらなる支援がこれから必要になってくると述べました。
また、新政権には世論をリードするくらいの気概を持ってもらいたいと述べ、政治として何を優先するのかということを、アメリカもEUも日本も問われており、地球益を追求することに自らの国益を見出すようにしなければならないと述べました。
⇒発表資料は
こちら 質疑応答
Q1⇒小西さんに:民主党に変わることによって、具体的に政策に落とし込む段階でNGOの役割はどう変わっていくか小西:
これまでの政権では入口の部分での議論に終始していたが、
今後は具体的な政策の中身について議論が出来ると思っている。
⇒山田さんに:(海外メディアで取り上げられた)鳩山の論文はオックスファムの主張とかぶると思うが、その後の(論文に関わる)鳩山言動についてどう思うか山田:
鳩山さんがあの論文の中で述べていたことは、日米同盟に疑問を呈するとか
アメリカに反対するとかだけではない。
世界の経済システムが行き過ぎてしまったがために世界の人々が苦しんでいる。
だから政治は構想力を持つべきで、アイディアをもつべきといっている。
たしかに貧困問題に対して何かいっているわけではないが、
その論文にはいくつか貧困問題に取り組むためのアイディアが
ちりばめられていると思う。
Q2⇒小西さんへ:25%削減といった鳩山民主党代表にたいして、トヨタの社長などがはっきりしたリアクションをしている。これは珍しい。つまり、これは反対ロビー活動がおきるのではないかと思うが、産業界を具体的にどのように説得するのか?
世論が後ろ向きになる中、世論をリードしなければいけないが、世論には影響されている。どうやって説得するのか小西:
産業界からの反対は強い。いわば、頭の転換が必要。
例えばグリーン・ニュー・ディール。世界が動いているときには
そちらに新しい雇用、ビジネスチャンスが出ている。
仮に家庭が35万を払ったら、逆に内需が増えることを意味する。
また、規制を強めれば将来的には日本の技術が高くなって世界的には有利になる。
山田:
目の前のこととしては「スタンド・アップ・テイク・アクション」がある。
昨年日本では2万人参加した。今後は参加してくださる人たちが三倍、
四倍に増えると良い。そこで、世界の貧困問題に興味があるのは自分たちだけ
ではないという思いを持ってもらい、ゆくゆくは地元の政治家に働きかけるような
市民層が育ってくれるといい。私たちはそのきっかけになりたい。
総括コメント
ピンプル氏去年、「スタンドアップ・テイクアクション」を通じて世界の2%の人が立ち上がった。これだけ多くの人々が、貧困の解決にむけて立ち上がった。だれしも尊厳を持って生きていたいし、ほかの人にも尊厳を持って生きてもらいたいと思っている。今年政権交代が実現したので、日本の市民社会にはおおきなチャンス。これを機に声を上げてほしい。
稲場貧困の問題に対していうと、いままでは途上国と先進国で貧困国と金がある国に分かれていた。しかし、いまはそれぞれの国の中で貧困とお金のある人が分かれてきている。途上国にも一部のお金持ちと貧困層がいて、同じ構図が先進国にもある。社会が、それぞれの国の中で分裂するという在り方がよいのかということが先進国においても問われている。だからこそスタンド・アップ・テイク・アクションをする。社会の分裂をどう防いで、統合的な健全な社会を作るか、それが問題だ。
MAKE the RULE 事務局桃井MAKE the RULEは国内できちんとした法律を作っていこう、新しいルールで地球をクールにというキャンペーン。いまの政権が25%を実行できるようにがんばっていこうとしている。25%の削減目標を提示した鳩山さんに、9月10日に30%の削減目標を出してくれという意味を込めて30本のバラの花束を渡す予定。ぜひご参加いただきたい。
国際連帯税を推進する市民の会(ACIST) 田中お金が絶対的に足りないといわれている中で、通貨課税に期待が高まっている。また、今日の金融危機を招いた金融取引を抑えるためにも意味がある。どこかの首相がやるといえば通貨課税はおこるといわれているから、まず日本がそれをやってもらいたい。
総括発言
熊岡路矢氏(「動く→動かす」代表)日本の政府が変わるかどうかは、私たち市民社会にかわっている。
また、貧困と環境、全ての問題は相互に関連し合っている。わたしたち市民社会は、それらの課題をつなぐ焼き 鳥の串のような視点をもつことが必要。政権交代は大きなチャンス。新しい政策を作ることをサポートしていこう。MAKE the RULEキャンペーンと「動く→動かす」(GCAP Japan)で、今後とも一緒に動いていきたい。
資料
プログラム
稲場雅紀発表資料「政権交代:国連総会・G20・COP15への見取り図」
山田太雲さん発表資料「新政権は60億人の声が聞こえるか~政権交代は、内向き外交転換の好機~」
Let's change the world for good
国連総会での演説にお願いしたいこと
G8の総括プレスリリース
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